襲撃&誘拐

タルシスまで戻ってくる。ワールウインドと街の出入り口ですれ違うが、
あいつは信用できないので何も教えてやらん。冒険者なら手前の足で稼げ。
ひとまず辺境伯のところで事情説明。
「なんと! そのような人々がいたとは…しかも人間を信用しておらぬと。ふむむ…」
「ヒゲしごいてねえで何か案を出せよ。むしるぞ?」
「ま、まあ、待ちたまえ。ウロビトたちとは友好的な関係を築きたいと思う。その第一歩としてこの親書を『巫女』に渡してもらいたい」
「おつかいRPGかよ。で、報酬は?」
「…世知辛いものだな。ミッションを発動しよう。受けてくれたまえ」


辺境伯の親書を持ち、また【深霧ノ幽谷】へと潜る。
うっかり花に手を出して壊滅しかかったりする愉快な事件を経ながら
ウロビトの里へ到着。
「……おい」
「ああ。様子がおかしいな」
無言で素早く戦闘態勢を取るパーティ。警戒心MAXで里の門を開く。
「おう。遅かったな」
「!? なんでテメエが居んだよ」
「たまたまさ。それより見てみろよ」
里を離れてからまだ数日も経っていない。
にも関わらず、里の中は変わり果てていた。
壊れた建物、焦げ臭いニオイ、苦しそうな呻き声、
不安と怒りと怯えを浮かべて慌ただしく行き来するウロビトたち。
「山賊にでも襲われたか?」
「ンなもんがこの辺境に居るわけあるか。お前らも戦っただろ、あのホロウとかいう奴らの仕業だとよ」
「あの人間型のクラゲみたいなやつか。集団で居住地を襲うような奴らなのか?」
「さあな。そこまでは知らん。…そうそう、そのホロウだが、巫女を攫っていったそうだ」
「ハァ!?」
「巫女を追いかけてウロビトたちも迷宮の奥へ向かったようだが、どうなるかね…」


額を寄せ合って善後策を相談。
「どうしますか」
「渡す相手が居なくなったのはうちらの所為じゃねえもんなあ」
「しょうがねえ。依頼主のところへ戻るか」
糸でワ−プ。
「おう! 居るか、ヒゲ!」
「もう少し敬意を払ってほしいものだがね。ミッションは達成できたかね?」
「そのことだけどな…」
かくかくしかじか。うんぬんかんぬん。
「なんと! それは見過ごせぬな。よし、諸君、ウロビトの巫女を救い出してくれたまえ!」
「いいけど報酬は誰が出すんだよ?」
「……わたしが出そう」


ワープだらけの迷宮の奥へと連れ去られた巫女。
巫女を追うウロビトたち。
報酬を上乗せさせて事態の解決に乗り出したパーティ。
世界樹はまだまだ遠い。待て次号!