CHAPTER0「グランド、ゼロ」その4

無数に湧いて出るマモノを打ち払いつつ3階を目指す。
チームの連携もだんだん息が合ったものになってきた。
まずムラサメが突っ込んで刀で切り払う。
次に俺が無傷の敵に炎で攻撃。
最後にハヤテがムラサメが倒しきれなかったマモノを殴り飛ばす。
この繰り返し。


「きりがないな」
息絶えたマモノに足をかけて刀を引き抜いたムラサメがぽつりと言う。
靴が汚れたぞなんて言う気も起きず、考えてみる。
…20から先は数えてないから正確な数は分からん。
ここまで来る途中には先行する他の候補者や支援の自衛隊員が殺したらしいマモノの死骸も散らばっていたから、100や200じゃきかないだろう。
暗くてよく見えなかったのが救いか。
そっとムラサメの表情を窺ってみるが切羽詰った様子でもないので、単に感想を言っただけってところか。
「全滅させろって課題じゃなかったぜ。『3階まで登れ』だろ」
「そうだねー」
メディス?で傷の治療をしていたハヤテも俺の言葉に賛成する。
つか、都庁内のマモノ全滅させろは無理だろ。
「さっさと登ろうぜ。試験終わらせて、ここから出よう」


3階まで上がってくると、ガトウが待ち構えていた。
「遅かったな! おまえらが最後だ! まあ、スタートも遅かったが」
「さて、この後だが…」
言いかけたところでガトウの無線が鳴る。
…なんだか不穏な気配が立ち昇る会話が洩れ聞こえてくる。
手におえないとか何とか。
「上で何かあったらしいな。お前らも来い!」
どうやら、まだ帰るってワケにはいかないらしい。